ピチャピチャペロぷなちゃ… くぅ〜ぅわん ペロペロピチャペチグイグイザラザラ….
この家の朝はだいたいこの音から始まる。
1人の人間が床に敷いた布団の上で毛布にくるまっている。
その布団の上で、毛布の外の、人間の頭のあたりで、なんだかやけに黒いのがピンク色の舌ベロで、その人間の顔を舐めくり回している。
犬だ、こいつは。ふん、今日も相変わらず犬だな。
にゃふん!わたしは思わずため息をついた。まったく朝からこいつらは何やっているんだか、、、
それにしても人間は全然起きない。あれだけ顔をピチャピチャ舐め回されおいてよくそのまま寝ていられるもんだ。
外から朝の光が差し込む。部屋が少しずつあったかくなっていく。外ではたくさんの生き物たちが動き始めているんだろう。それでもこの部屋はいつまでもとても穏やかに、ピチャピチャという音がやけに強く響く。
どうしようもないな、こいつらは。いやしかし、わたしも少し腹が減ってきた。ふむ、仕方ない。わたしも顔舐めをしてやろう、黒いのよ。
わたしは黒いのは一緒に人間の顔を舐めた。
しかしわたしの舐めは、この黒いののそれとは質が全く違うのだぞ。何せ猫なのだ!犬なんぞとは舌の作りから何から違う!わたしの舐めを味わうがいい、人間!
じゃりぃ…
猫の舌はザラつくのだ。犬みたいなベチャベチャとは違う!見たか!犬!人間!
おい、どうした?犬、何をひいている?なんだその引きつった顔は?
おい、人間。お前も何嫌そうな顔している?まだ寝ているくせに。早く朝ごはんを用意しろ。人間よ、起きろ!
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