hatsumi– Author –
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段子川アフターザレイン#1
エロいぞ! 赤羽が隣の席の子に向かって叫んだ。赤羽は基本的に思ったことをすぐ言うタイプの人間で、残念なことに見た目だけはとてもいい。 綺麗なバカは可愛くって助かるわぁ。 バカを見てバカなことを言うこのバカは、バカな上にエロくて、よくいえば野... -
Micro Story
かつのはどっち?
カツ丼1杯600kcal。 V.S. ロースカツ1枚330kcal。 ご飯1杯210kcal。 味噌汁1杯20kcal。 漬物10kcal。 サラダ2kcal。 ソース30kcal。 きんぴら小鉢30kcal。 合計632kcal。 私は後者。 -
Short Story
不幸なんていらない
「俺は不幸じゃないといい曲を書けないんだ」 彼氏くんの言うことはよくわからない。不幸なんてない方がいいに決まっているし、不幸じゃなくても曲は作れるでしょ? 私と付き合って3年の彼氏くんは、日に日に不幸の底を掘り進めているみたいだった。私はそ... -
Novel
アンダーザレイン・バスストップ
「あのぉ... 隣いいですか?」 低く太い声が聞こえた。わたしに声をかけているみたいだ。遠くの空を見上げていたわたしはハッとして、視線を声の方へと下げた。 「あのぉ... すみません。ちょっとだけいいですかね、隣。」 声の主の方に視線をやる前に、彼... -
Story
僕は君たちの少しめんどくさい当たり前になりたい
綺麗な花よりもその土台にある茎や葉っぱが好き。 みんなを颯爽と抜き去って走る彼女よりも、彼女が履いている靴の裏の素材が気になる。 おしゃれでスタイル抜群でかっこいい彼よりも、2日間お風呂に入れずボロボロになった時の彼の方に魅力を感じる。 み... -
Japanese
あの子の指が白くて細くて
せんぱいが好き。 地方の公立高校のバスケ部で活躍していた俺。 かっこいいの。すごい速さでゴールに向かって、手品みたいにボールを操って、ゴールを決めた後の汗と笑顔。まるで時間が止まったみたいにずっと鮮明に覚えているの。 この子はどうやら俺が好... -
Story
おじや
「かなこ、おじやだよ。食べれそう?」 子どもの頃、私が風邪を引くと母は夜な夜なそっとおじやを出してくれました。 寝込みがちであまり食べれなかった私ですが、そのおじやはとても美味しかったことをよく覚えています。 今わたしはその味を思い出しなが... -
Story
イヤホン
団地のエレベーターで毎朝一緒になるお姉さんがいます。彼女はいつも僕の挨拶を無視します。でも僕をじーっと見つめるのです。怖いなぁって思っていたら、ある日彼女は僕の耳元にグッと迫り、デスメタルがガンガン流れるイヤホンを外して「おはようござい... -
Story
おじさん
向かいのコンビニのおじさんがこっちを睨んできました。おじさんは近眼なのです。僕っぽいシルエットを見かけたけど僕が確信がなくじーっと見てしまっているのでしょう。僕はそんなおじさんも好きです。コンビニを出て、おじさんの方に僕だよーって手を振... -
Story
小人
この世界のどこか、君が気付かないところで、たくさんの小人たちが楽しそうに暮らしいています。 君が忘れそうになったスマホをそっとバッグに入れてくれたのも、絶対に遅刻できない日に信号を割と全部青にしてくれたのも、小人たちのおかげ。 だからあと...